北陸フードデザイン工房

ホクリクフードデザインコウボウ

「何か困っていることはありませんか」、の言葉を発想の基本に、クライアントの様々な希望に合わせて農産物を加工し、市場になかった新しい原料や製品を生み出している会社、京都グレインシステム株式会社。

創業時から、精米の過程で出る使われないお米を利用した玄米茶を作り続けるなど、サステナビリティや地域活性の手助けを、という精神が根底にあります。

そんなものづくり精神から生まれたのが、ブランド『北陸フードデザイン工房』であり、究極の地産地消の助けとなる製品“米飴(こめあめ)”が誕生しました。

サスティナブルであり、ヴィーガン対応であり、さらにヨーロッパのオーガニック認証であるエコサートや、日本マタニティフード協会の認証を取得、というすべての人に優しい甘味料“米飴(こめあめ)”は、どうやって生まれたのでしょうか。

そこには開発に携わった田宮尚典さんの熱い思いがありました。

―お米から作った甘味料は、今回存在自体も初めて知りましたし、初めて食べさせていただきました。とても優しい味で美味しいのですが、どんな経緯でこの製品が開発されることになったのでしょうか?

田宮さん:元々私どもの会社は、創業時から玄米茶を作っていまして、それは、精米の過程でどうしても出てしまう、クズ米と呼ばれる捨ててしまうような未利用のお米を使って、玄米茶を作っていたんですね。また飲料だけでなく、製粉して米粉にするなどして、メーカーさん向けに供給したりしていたんです。

―元々捨てられてしまうお米の有効利用をされていたんですね。

田宮さん:はい。その一環で、北陸地方で昔から食べられている、お米から作る甘味料を製品化して、例えばあんこ屋さん、佃煮屋さん、といったメーカーさんに、砂糖の代わりに使っていただくようなものを作ろう、ということになり、開発したんです。また実は、ヨーロッパのお客様でこの米飴をご存じの方がいまして、「オーガニックでヴィーガンの人でも食べられる米飴を提供してほしい」という要望があった、というのも、開発のきっかけです。

ーお米からこういう甘味料が作れる、ということ自体知らなかったので驚きました。そうか、お米には糖質が含まれているんだから、よく考えてみると当たり前なんですね。

田宮さん:そうそう、でんぷんがたくさんありますから。ものすごく簡単に言いますと、お米をお湯で溶いて煮込み、麦芽パウダーを入れ、酵素反応をさせることでお米のでんぷんを分解して、糖ができる。糖化することでお米の甘みを引き出します。

ー日本にも古くからある自然の酵素を使った製法が、ここでも生かされているんですね。

田宮さん:はい。北陸地方では、お米が原料の米飴は伝統的な産業であって、“じろ飴”とも呼ばれるよく見られるものなんです。飴と言ってますが、固形のキャンディーというわけではなくて、いわゆる冷やし飴のようにお湯で溶かして飲んだり、昔から食べられていたようです。

―なるほど、冷やし飴みたいな使い方というのが、よくわかりました。ちょうどハチミツと似たような粘りのある柔らかさで、何に使うにも使いやすいなと思いましたが、この状態にするのはやはり難しいのでしょうか?

田宮さん:そうですね。メーカーさんから、昔ながらの米飴の状態だとあまりに硬すぎて使いにくいので、ハチミツと同じくらいの柔らかさに仕上げてほしいという要望がありました。そこで柔らかくすることはできたのですが、柔らかすぎると今度は賞味期限が短くなってしまう、腐敗しやすい、味が変わりやすく品質が安定しない……といった問題が起きてしまうんです。

―そうですよね、そうなると保存料が必要……、となってきますね。

田宮さん:はい。しかし、元の米飴と同様に添加物などは使わずに作りたかったので、そこは一生懸命研究し、試行錯誤して形にしました。3品ともハチミツと同じくらいの柔らかさになるように仕上げています。

―甘さという点でもしっかり甘みがつくし、甘味料の選択肢が少ない現状の中で、こういうものがあるのはとても嬉しいことだと思います。

田宮さん:そうなんです。甘味料は日本ですと、北海道生まれの甜菜糖、沖縄生まれの黒糖などはありますが、やはり地産地消の観点も含めて、遠い地域でなく本州の中でも甘みを作れないかと考えたときに、お米から作れるものがあるなら作ってみようと。

―他に一般的な甘味料といえば、白砂糖、ハチミツ、メープルシロップくらいですもんね。

田宮さん:はい、やはり伝統的な和食の文化の中に、ハチミツやメープルシロップなどの海外の甘みを使うとなると、だいぶ味が変わってしまいますよね。ですからこの米飴という伝統的な甘味料を作ることで、和食の味を守ることにつながったり、また地産地消の素材開発につなげられるのではないか。そんな思いが先にありました。

―ハチミツもダメ、という赤ちゃんや、ヴィーガンの方でも使えますね。そういう甘味料を探している方も多いと思います。

田宮さん:そうですね。やっぱり選択肢がないままに我慢している方、あきらめてしまっている方が多くいらっしゃると思うので、そういう方たちにぜひ、日本生まれで安心で安全なこんな甘味料があるよ、ということを知っていただきたいですね。

―国内の地域や農家の方の状況についてもとても考えられている印象を受けます。そういったことが製品開発の原動力なのでしょうか?

田宮さん:そうですね……。実は私どもは、以前ペットボトルのお茶を作っていたんです。そこである時、とあるお祭りにそのお茶を提供しましょうか、と提案したんです。すると、「そういうペットボトルみたいな環境に優しくないものは、伝統的なお祭りには使えないので結構です」とお断りされてしまいまして、すごいショックを受けました。

―それはショックですね。

田宮さん:伝統的な行事に「いらんねん」と言われたときに、ガツンとこたえまして。それに応えられるものを作りたい、何か寄与できることがあるのではないかと考えるきっかけになりました。やはり我々は、ただ製品を作り供給するだけではなくて、環境や地域、人のことを考えて、人の営みを守っていくことを考える責任があるなと考えております。

田宮さん:また、多くの食品メーカーさん、農家さんが「形悪いから、傷ついてるからってたくさん捨ててんねんけど、どうしたらいいんかな」という問い合わせもとても多く、「こんな美味しいもんを、もったいないからなんとかお客さんにつないでほしい」。そういった要望をなんとかできないか。そういった思いをカタチにしようと、常にあれこれ考えて製品開発をしています。農業に支えられた日本のお米や野菜が持つ力を最大限引き出して、人にも地球にも美味しく、健康になれる商品を皆様に提供できればと思います。

(おわり)

今回取材・執筆をしたのはこの方

ライター 斎藤 真知子

美容、健康、エンタメネタ中心のライター&編集者。編集プロダクションと美容雑誌編集部を経てフリーランスに。かれこれウン10年美容業界の片隅でお仕事中。肌データは、アトピー持ちの(でも現在はほぼ出ない)基本乾燥肌。……なのに寄る年波で部分的な毛穴の開きやテカリ、たるみも気になる。スペインとお肉とオヤジ俳優好き。